株式会社が資金を調達する手段には、募集株式の発行、社債の発行、借入れ等があります。
ここでは、一般的な増資手続きである募集株式の発行(いわゆる従前の新株発行)の手続きについてご説明致します。
●募集事項の内容、会社の機関設計等によって、決定する機関が異なります。 具体的には次の事項です。
- (1)株主に割り当てを受ける権利を与えるかどうか
- (2)公開会社か非公開会社か(株式の譲渡制限規定の有無)
- (3)有利発行であるかどうか(実際の株式価値より安価で発行するか否か)
●上記の機関で、募集事項・株式割当などの決議を行います。具体的には次の事項です。
- (1)募集株式の数・種類
- (2)募集株式の払込金額又はその算定方法
- (3)株主に対し、募集株式の引受けの申込みをすることにより当該株式会社 の割当てを受ける権利を与える旨
- (4)前号の募集株式の引受けの申込みの期日
- (5)募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日又は期間
- (6)株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項
●募集株式の引受人は、募集株式の引受けの申込書を提出します。
●募集株式の引受けの申込みの期日に募集株式の引受人が確定します。
●金融機関で、募集株式の払込金額を払込みます。
●払込みの期日を定めた場合は払込みの期日に、払込みの期間を定めた場合は払込みを行った日に、募集株式の発行についての効力が発生します。
●管轄の登記所で、募集株式の発行による変更登記の申請を行います。
●登記完了後、諸官庁への届出を行います(税務署、都道府県税事務所、市町村役場、公共職業安定所、社会保険事務所)。
以上は、通常の現金出資での増資手続きですが、この他に、債権等の現物出資による増資といった方法もあります。
例えば、社長個人が既に会社へ貸し付けているお金自体を金銭債権として出資して、新株の発行を受ける、等です。
近時、デット・エクイティ・スワップ(DES:直訳すると『債務と資本の交換』)などと呼ばれる手法もこの一種です。
旧商法下では、現物出資に関する裁判所選任に係る検査役による調査など、煩雑な手続きがありましたが、現在の会社法では、その様な面倒な手続きを省略する事が可能です( ※ 500万円を超える出資の場合には、弁護士、公認会計士、税理士等による簡易な証明が必要となります)。
この手法による場合、新たな現金を用意しなくても増資できるというメリットもありますが、出資財産の評価方法等、注意しなくてはいけない点もあります。
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※ 会社登記等の商業登記手続きについては、不動産登記手続きと異なり、登記事項に変更が生じた場合、原則2週間以内に本店所在地を管轄する法務局へ、登記申請する事が法で義務付けられております。 長期間放置してしまうと、裁判所より過料(行政罰の一種)が課せられる事がありますので、ご注意下さい。