任意整理手続は、
- (1) 認定司法書士による受任通知発送(→直接取立の禁止)
- (2) 取引履歴の開示
- (3) 利息制限法に基づく引き直し計算
- (4) - 1分割和解案の提示、(→遅延損害金、将来利息カットの要求)
- (4) - 2過払い金の返還請求
- (5) 和解成立
- (6) 返済開始
という流れで行われます。
以下、この各手続について、順番にご説明致します。
認定司法書士による受任通知発送(→直接取立の禁止)
私ども認定司法書士は、借主から依頼を受けると、金融機関各社に対して、「A氏の債務整理手続きは、当職が正式に受任致しました。今後は本人から直接取立てしない様にして下さい。また、依頼者にお金を貸したことがあるのならば、一番始めにお金を貸した時から、最後にお金を貸したり、返してもらった日までの全部の取引履歴を出してください。」という内容の書類を送ります。
これを一般に、認定司法書士による受任通知(介入通知)と呼んでいます。
そして、この受任通知によって各債権者は、以降、借主に対する直接の取立てが一切できなくなります。
借主に直接会いに行くことはもちろん、ご自宅職場等への電話、手紙、FAX、メール等、一切の直接連絡が禁じられます。( ※ もし違反した場合には、金融庁等の監督官庁による罰則規定があります。)
この様に、私ども認定司法書士に借金整理を正式にご依頼頂くと、厳しい直接取立てから解放され、平穏な日常生活を取り戻す事が出来ます。
取引履歴の開示
私ども認定司法書士は、借主から依頼を受けると各債権者に対して受任通知(介入通知)を送ります。そして、各債権者に対して借主との間の全ての取引履歴を開示するよう要求します。
このようにして各債権者から提出された取引履歴に借主との間の全ての取引履歴が記載されていれば、これについて利息制限法に基づく引き直し計算を行います。
全取引履歴であるかどうかは、各債権者が開示した取引履歴を借主の記憶、契約書、明細書、カード等とつきあわせて判断します。
消費者金融(いわゆる「サラ金」)系の金融機関の多くは、利息制限法の制限利率よりも高い利率でお金を貸しているので、利息制限法に基づく引き直し計算をすることによって、多くの場合、借金の額が減ります。
場合によっては、過払いになっていることが分かる場合もあります。
このような利息制限法に基づく引き直し計算にあたっては、取引期間が長ければ長いほど、計算後の借金の額がたくさん減る可能性が高いのです。
そこで、私ども認定司法書士は、依頼者の債務残額をできるだけ減らすべく、各債権者に対して借主との間の全取引履歴を開示するよう請求するのです。
利息制限法に基づく引き直し計算
私ども認定司法書士は、各債権者から取引履歴が開示されると、その取引について利息制限法に基づく引き直し計算をします。
利息制限法は上限金利を定めていますが、実際のところ、これに違反しても罰則がありません。
このため、消費者金融(いわゆる「サラ金」)系の金融機関のほとんどは利息制限法の上限金利を超えて利息を取っています。例えば、サラ金から100万円を年24%の金利で借りて毎月2万円を払っていたとします。年24%の金利は月に直すと月2%の金利になります。100万円を借りれば月に2万円が利息になります。そうするすると毎月2万円を払っても元金100万円は全く減りません。永遠に毎月2万円を払い続けなければならないことになります。しかし、100万円を借りた場合の上限金利は年15%ですから、月に直すと月1.25%の金利になります。100万円を借りれば月に1万2500円が利息になります。本来は1万2500円しか利息として取ってはいけないのです。そうすると、2万円から1万2500円を引いた7500円は払い過ぎていることになります。この7500円は元金100万円の返済にあてます。そうすると、元金は99万2500円に減ります。このような計算を続けていくと元金はどんどん減っていき、いずれなくなります。このような計算を利息制限法に基づく引き直し計算といいます。この計算をすると借入期間が長ければ長いほど元金が減るということになります。このようにしてサラ金から借りた借金を減らしていくのです。
完済したことがある場合でも、最初の借入にさかのぼって利息制限法に基づく引き直し計算をします。新たな借入をしたときから利息制限法に基づく引き直し計算をするのではありません。
このため、依頼時には、最初の借入時期を伝えてください。新たに借入をした時期しか伝えないと、借金の減額の幅が少なくなってしまったり、過払金があることに気付かないおそれがあります。
-1 分割和解案の提示、(→遅延損害金、将来利息カット要求)
私ども認定司法書士は、利息制限法に基づく引き直し計算をして、借金額を減らします。
そして、減らした借金に基づいて和解案を作成します。
和解案では、各債権者が主張している金額ではなく、引き直し計算した後の残額を分割して支払うことにします。
この分割支払の期間は3年~5年が目安となります。また、今までの遅延損害金や将来の利息もカットした内容で和解出来る様に交渉致します。
-2 過払い金の返還請求
法定利息で引き直し計算した時点で、過払い金が発生していた場合、債権者(=過払い金の支払い債務者)に対し、その返還を請求してゆく事になります。
更に、過払い金が発生した時点から支払い済に至るまでの年5%の法定金利も併せて請求する事になります。
債権者(=過払い金の支払い債務者)が任意に支払わない場合には、返還請求訴訟を提起する場合もありますが、大抵の場合、勝敗が明らかですので、殆どの金融業者は、裁判外での和解を求めてくるのが現状です。
和解成立
私ども認定司法書士は、各債権者に対して和解案を提示しますが、その案に、債権者らが同意してくれれば、和解が成立します。そうすると、依頼者は和解案に基づいて返済を開始します。
しかし、債権者の中には、和解案に同意しない業者もいます。例えば、和解案の合計返済金額が少なすぎる、返済期間を短くしてほしい、1回あたりの返済金額を上げてほしいなどの主張をしてきたりすることがあります。そのような場合には、再度和解案を検討して、承諾してくれないか、各債権者と再交渉致します。
分割返済開始
任意整理で和解が成立した場合は、和解内容に従って毎月貸主に支払っていくことになります。通常貸主は複数ですし、貸主ごとに和解が成立する時期も異なります。また、司法書士費用を分割払いとしている場合にはこれも払わなければいけません。
このようなことから、当事務所では、依頼を受けるときに毎月いくらなら支払いができるかを聞き、その金額を毎月司法書士名義の預かり金口座に振り込んでもらう方式をとります。
そして、このようにして積み立てて頂いたお金の中から、司法書士費用や和解に伴う貸主への分割弁済金を支払っていきます。これを積み立て返済方式といいます。
この方式をとると、司法書士費用も分割で無理なく支払うことができます。また、本人は毎月1回司法書士事務所だけに振込をすればよく、複数の貸主それぞれに対して振込を行うわずらわしさがありません。
※お振込頂いた費用は、毎月銀行を通じて分割弁済金を各貸主に振り込みます。この際、銀行の振込手数料を含めて1貸主につき1回1,000円の代行手数料がかかります。